糖尿病の種類はⅠ型Ⅱ型だけではない?違いを解説

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糖尿病は、インスリンの作用不足や低下が原因となり、血糖値の上昇を抑える働きが低下することで高血糖状態が慢性的に続く病気です。大きく分けるとⅠ型糖尿病Ⅱ型糖尿病に分類されます。

本記事では、糖尿病の種類とその違い、発症する原因、主な症状を解説します。

糖尿病の種類

糖尿病の代表的な分類は、Ⅰ型糖尿病Ⅱ型糖尿病妊娠糖尿病3種類です。厚生労働省によると、患者の人口比は、Ⅱ型糖尿病が全体の大部分を占めると発表しています。以下では、Ⅰ型糖尿病Ⅱ型糖尿病妊娠糖尿病に大別し、特徴と発症原因、主な症状を詳しく解説します。

 

Ⅰ型糖尿病

Ⅰ型糖尿病は、すい臓のインスリンを生成するβ細胞が自己免疫異常によって攻撃され、破壊されてしまう病気です。自己免疫は通常、病原体を排除するために働く免疫機能ですが、Ⅰ型糖尿病では、この免疫が自分自身の身体を攻撃します。

 

Ⅰ型糖尿病の発症原因

自己免疫の異常によってβ細胞が破壊されると、インスリンが不足してしまいます。これにより、Ⅰ型糖尿病を発症します。

 

Ⅰ型糖尿病の主な症状

Ⅰ型糖尿病では、一般的に喉の渇きや栄養不良、頻尿、疲労感などの症状が現れることが特徴です。

インスリンが不足すると高血糖状態となり、体内で栄養やエネルギーをうまく利用・蓄積できなくなります。結果、身体は栄養不良に陥り、全身の倦怠感や力不足、食事を取っても痩せてしまうなどの代謝異常が生じます。

 

しかし、血管内にはブドウ糖が過剰に存在しており、この余分なブドウ糖は、腎臓から尿として排出されていきます。結果、尿の量が増え、頻繁にトイレに行きたくなるのです。

尿中に糖が多く含まれることで脱水状態になりやすく、喉の渇きを感じることがあります。頻尿による睡眠不足に悩む方も少なくありません。

 

Ⅱ型糖尿病

Ⅱ型糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンの作用がうまく働かないために発生します。通常、血糖値が上昇すると、すい臓からインスリンが分泌され、体のエネルギーとして利用されます。しかし、インスリンの作用が不十分だと高血糖状態になります。

 

Ⅱ型糖尿病の発症原因

インスリンの働きが低下する原因は2つあります。

1つ目は、すい臓の機能が低下し、インスリンの分泌量が減少することです。機能低下には、主にアルコールの過剰摂取が原因となることが多いとされています。

2つ目は、肝臓や筋肉などの組織がインスリンに対して鈍感になり、インスリンが十分に分泌されていても効果が発揮されにくくなることです。遺伝的要因に加えて、肥満や運動不足などの生活習慣の乱れが発症を引き起こすと考えられています。

 

Ⅱ型糖尿病の主な症状

Ⅱ型糖尿病では、一般的に、過度な疲労感や頻尿、栄養不良による体重減少、喉の渇きなどが症状として出ることがあります。

Ⅱ型糖尿病の特徴として、皮膚の乾燥による痒みの発現や、感染症にかかりやすくなること、傷の治りが遅くなるなどの症状が現れやすいです。

初期症状がほとんどないことが一般的です。症状がある場合には、すみやかに医療機関を受診することをおすすめします。

 

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて診断される糖尿病です。主に妊娠中に血糖値が高くなることで発生するとされています。ほとんどの場合、出産後には血糖値が正常に戻ります。

 

妊娠糖尿病の発症原因

妊娠糖尿病の主な原因は、妊娠中に体内で分泌されるホルモンがインスリンの働きを妨げることです。

 

インスリンは血糖値を調節するホルモンですが、妊娠中に分泌されるホルモンはインスリンの効果を弱め、血糖値が上昇しやすくなります。

家族歴や肥満、高齢出産、多胎妊娠などの要因も、妊娠糖尿病のリスクを高めることもあるようです。

 

妊娠糖尿病の主な症状

妊娠糖尿病では、一般的に、羊水過多症や巨大児、妊娠高血圧症候群、新生児低血糖の症状が起きやすいとされています。

症状は軽微であることが多く、しばしば無症状です。しかし、母子ともに負担が大きいので注意が必要といえます。定期的な検診を行い、早期発見することが大切です。症状が現れた場合は、医師の診察を受けてください。

 

まとめ

本記事では、糖尿病の種類別に概要と発症原因、主な症状を解説しました。

3種類に大別されるうちの8割はⅡ型糖尿病ですが、自己免疫の以上で起こるⅠ型糖尿病妊娠糖尿病の可能性もあります。

当てはまる症状がある場合には、適切な医療機関を受診して、必要な場合には医師の指示を仰ぎましょう。

 

記事の監修者

湘南台しらがクリニック院長 白神 敏雄のイメージ画像

理事長 / 院長 白神敏雄

日本外科学会専門医・日本透析学会会員・日本内科学会会員・日本医師会産業医

内科として糖尿病、高血圧、胃腸疾患の治療を医院では行っております。
京都の高雄病院の江部先生と連携し、糖質制限による糖尿病治療を行っております。