糖尿病の原因は?リスクを高める食事についても解説

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糖尿病の原因はひとつではなく、さまざまな要素が関与して発症します。2019年の国民健康・栄養調査では男性の19.7%、女性の10.8%に糖尿病が強く疑われると判定されており、現代の国民病ともいわれています。近年では若い世代の発症も増加傾向にあり、予防策をしっかりと講じることが重要です。

 

本記事では、糖尿病の原因や発症リスクを高めてしまう食事について解説します。予防策を知りたい方や、疑いのある方の参考になると幸いです。

 

糖尿病になる原因

糖尿病は体質や食生活など、さまざまな要素が組み合わさって発症すると考えられます。ここでは、発症につながる主な原因をご紹介します。

 

遺伝

日本人は、血糖値を下げるために必要なインスリンの分泌量が欧米人の半分程度しかありません。そのため、欧米人と比較すると糖尿病を発症しやすいといわれています。

 

また、家族に糖尿病患者がいると発症リスクは増加します。たとえば父親・母親の両方がり患している場合、発症率は40%ほど高くなるとされています。遺伝は個人の努力で改善できるものではないため、発症を予防するためには生活習慣に気を配ることが重要です。

 

肥満

内臓脂肪が体の中に蓄積されると、インスリンの働きが弱体化し分泌量が増えていきます。分泌量の増加が続くと、すい臓が疲弊してしまい正常な働きができません。するとインスリンの分泌量が減っていき、血液中の糖を処理できなくなってしまいます。

 

たとえ軽度の肥満でも糖尿病の発症リスクが高まるため、適度な運動や食生活の改善により適正体重を維持することが大切です。また、肥満は心筋梗塞や脳梗塞などのリスクも高めてしまいます。検診で肥満を指摘されたら、食事や運動により改善を図りましょう。

 

食生活の乱れ

糖質や炭水化物を摂取すると、血液中のブドウ糖が上昇します。通常であれば23時間ほどすれば正常値に戻りますが、糖質をとり過ぎたりダラダラ食べ続けたりすると、血糖値が高い状態から戻りません。すると、すい臓にも大きな負荷がかかり、糖尿病の発症リスクが高まります。

 

食生活によって糖尿病が発症するリスクをおさえるためには、バランスのとれた適量の食事をとることが大切です。まずは1日に食べている内容や時間をすべて書き出し、普段の食生活を見直すことから始めましょう。

 

糖尿病の原因になりうる食事は?

糖尿病の発症リスクを下げるためには、食事内容が重要です。ここでは、原因になりうる食事メニューについて紹介します。

 

炭水化物の多いメニュー

炭水化物に含まれる糖質は、人間の生命活動に欠かせない栄養素です。しかし、必要以上に摂取すると血糖値を急上昇させてしまい、インスリンの大量分泌を招きます。

 

たとえば日本人の食生活に欠かせない白米は、摂取量が多くなるほど糖尿病のリスクも高まることが分かっています。白米は精白の過程で食物繊維や取り除かれており、血液中にすばやく吸収されます。そのため、血糖値の急上昇を招きやすいのが特徴です。

 

脂質を多く含むもの

脂質は糖質と同様に、体にとって必要な栄養素です。摂取する量が少なすぎると、ビタミンの吸収率の低下やエネルギー不足に陥る可能性があります。しかし、脂質を摂り過ぎると肥満を招き、インスリンの働きが阻害されるリスクが生まれます。

 

特に菓子パンには、バターやマーガリンなどの脂質が多く含まれているため注意が必要です。また腹持ちが悪いため、ついたくさんの量を食べてしまいがちです。菓子パンを食べる習慣のある方は、野菜スープやサラダを先に食べたり、頻度を見直したりするとよいでしょう。

 

食事をとる順番にも注意

血糖値の急上昇を避けるためには、食事のメニューだけでなく食べる順番も重要です。血糖値の上昇を緩やかにするためには、以下のような順序で食べましょう。

 

  • 野菜、海藻、キノコ類
  • 魚、肉
  • ご飯、パン、麺類

 

野菜、海藻、キノコ類には、血糖値の上昇を穏やかにする食物繊維が多く含まれています。また、食物繊維をとると満腹感が得られやすいため、食べ過ぎも予防できます。次に魚や肉などのたんぱく質、最後にご飯やパンなどの炭水化物を食べると、血糖値の上昇を緩やかにすることが可能です。

 

食事メニューをすべて変えるのが大変だという方は、食べる順番を工夫してみることから始めてみましょう。

 

関連ページ:糖尿病の食事メニューのポイントは?

まとめ

糖尿病の原因はさまざまであり、そのすべてをコントロールできる訳ではありません。しかし、肥満や食生活などは改善策をとることが十分に可能です。糖尿病の改善を図りたい方や、予防策を講じたい方は、まずは生活習慣から見直してみてください。

記事の監修者

湘南台しらがクリニック院長 白神 敏雄のイメージ画像

理事長 / 院長 白神敏雄

日本外科学会専門医・日本透析学会会員・日本内科学会会員・日本医師会産業医

内科として糖尿病、高血圧、胃腸疾患の治療を医院では行っております。
京都の高雄病院の江部先生と連携し、糖質制限による糖尿病治療を行っております。