糖尿病の食事メニューのポイントは?
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糖尿病の患者にとって、食事の取り方は重要なポイントです。しかし、はじめて食事療法に取り組む場合、メニューの決め方が分からない方もいるでしょう。
この記事では、食事メニューを決める際のポイントを紹介します。あわせて外食やコンビニの注意点も解説しますので、食事療法に悩まれている方の参考になると幸いです。
自炊のメニューのポイントは?
糖尿病患者は血糖値を上げ過ぎないように、バランスのよい食事を取ることが大切です。自炊のメニューを考える際は、以下の2点を意識しましょう。
食品交換表で摂取エネルギーを調節する
栄養バランスのとれた食事をするには、まずは自分の摂取できるエネルギー量を把握します。体格や生活環境などで一人ひとりに必要な摂取エネルギー量は異なるため、主治医に確認をとると良いでしょう。
摂取エネルギー量を把握したら「食品交換表」を参照します。食品交換表とは糖尿病患者の食事療法をサポートするためのツールで、栄養素に基づいて以下の6つのグループに分類されます。
群 | 食品の種類 | 食品例 |
---|---|---|
Ⅰ 炭水化物 | 穀物やいも類・炭水化物の多い野菜・種実・大豆を除いた豆 | ご飯50g、ロールパン25g、食パン30g、じゃがいも110g |
くだもの類 | りんご150g、バナナ100g、ぶどう150g | |
Ⅱ タンパク質 | 肉や魚介・卵・チーズ・大豆や大豆製品 | 鶏もも肉(皮なし)60g、さけ60g、鶏卵50g |
牛乳とチーズを除いた乳製品 | 牛乳120ml、ヨーグルト120g | |
Ⅲ 脂質 | 油脂や多脂性食品 | 植物脂10g、マヨネーズ10g |
Ⅳ ミネラル | 野菜(1単位300g)・海藻・きのこ・こんにゃく | トマト421g、しいたけ400g |
調味料 | 味噌・砂糖・みりんなど | 砂糖20g、味噌40g、トマトケチャップ60g |
食品交換表では、1日の指示エネルギーを単位で表しており、1単位は80kcalです。それぞれのグループには、食品1単位にあたる重量(g)を示しています。たとえば1単位の食品には、ご飯50g、さけ60g、牛乳120ml、マヨネーズ10gなどがあります。
主治医から1日の摂取エネルギーが1600kacalと定められている場合、1600kcal÷80kcal=20単位となります。必要な単位が分かったら、朝・昼・夕の三食へバランスよく配分しましょう。
献立の作り方
実際に自炊のメニューを作るときは、まずは主食と主菜を選び、表6の中から野菜や海藻などを加えるとバランスが整ってきます。特に野菜は不足しがちなので、毎食100gを目安に加えます。
表5の油脂・多脂性食品は取りすぎに注意し、動物性よりも植物性を選ぶと良いでしょう。調味料を加えるのは1日0.5単位(40kcal)が目安です。また、調味料のうち塩・醤油・酢・ソースなどはエネルギーを無視できますが、食塩を多く含むものは使い過ぎに注意してください。
また、同じ食品でも調理方法により糖分・塩分・油分が大きく変化します。できるだけこれらの成分をカットできる調理方法を選ぶのも、メニューを考える際のポイントです。
外食時のメニューの決め方
糖尿病患者でも適切なメニューを選べば外食できますが、栄養が偏り過ぎたり指示エネルギー量を超えたりしないように心がけることが大切です。たとえば、主食中心の一品料理は避け、できるだけ多くの材料を使っているメニューを選ぶと良いでしょう。
外食で1食分の指示エネルギー量を守るのは、難しいケースもあります。どうしてもうまく調節できないときは、その後の食事でバランスを取ってください。
コンビニでのメニューの決め方
糖尿病患者の中には自炊が難しく、コンビニを利用されている方もいるでしょう。最近はコンビニにも健康志向の方に合わせた食品が販売されており、上手く活用すれば栄養バランスがとれた食事を取れます。
コンビニでご飯を購入する際は、600kcal以下を選ぶこと、糖質は食物繊維とともに摂取すること、栄養成分表示ラベルを必ずチェックすることが大切です。また、味の濃い調味料は塩分や糖質が多く含まれているため、使い過ぎないようにしましょう。
まとめ
糖尿病の食事メニューを決めるときは、必要以上にカロリーを摂取しないこと、栄養のバランスを意識します。食品交換表を活用しながら、まずは1週間のメニューを考えてみましょう。自炊が難しいときは、外食やコンビニを上手に利用してみてください。
記事の監修者
理事長 / 院長 白神敏雄
日本外科学会専門医・日本透析学会会員・日本内科学会会員・日本医師会産業医
内科として糖尿病、高血圧、胃腸疾患の治療を医院では行っております。
京都の高雄病院の江部先生と連携し、糖質制限による糖尿病治療を行っております。