糖尿病患者の食事のポイントは?
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糖尿病患者にとって、食事療法は治療の基本です。血糖値を上手くコントロールするためには、食事のメニューや食べ方を工夫することが重要です。こちらの記事では、糖尿病患者の食事のポイントや嗜好品の付き合い方を解説していきます。
糖尿病患者の食事のポイント
糖尿病患者の食事の主なポイントは、次の3つです。
適正エネルギーを厳守する
適正エネルギーを守ることは、血糖値の上昇だけでなく、肥満や合併症の進行を防ぐのにも役立ちます。適正エネルギーは体格や年齢によって異なりますが、下記の計算式で算出が可能です。
適正エネルギーの計算方法
標準体重(kg)= 身長(m)× 身長(m)× 22
1日の適正エネルギー(kcal)= 標準体重(kg)×身体活動量(kcal)
身体活動量は、デスクワークが中心の方は25~30kcal、立ち仕事の方は30~35kcal、力仕事をよくする方は35~40kcalが目安です。ただし、医師の指示で摂取カロリーが決まっている場合は、それに従ってください。
1日3食を規則正しく食べる
適正エネルギーを守るだけでなく、1日3食の量を均等に分けることも大切です。1日2食にすると1回の食事の量が多くなり、食後血糖値の急上昇を招きます。また、食事の間隔は5~6時間を目安に空けると血糖値が安定し、膵臓の負担を軽減できます。
栄養バランスのよい食事を心掛ける
糖尿病の食事は、三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)のバランスを理想的な比率に保つことが推奨されています。具体的な比率は、以下のとおりです。
炭水化物:50~60%
たんぱく質:20%以下
脂質:20~30%
理想的な栄養バランスを叶えるためには、主菜、副菜、主食のそろった食事を習慣づけましょう。
糖尿病患者の食事を調理するときの注意点
糖尿病の食事療法では、調理方法も重要です。以下の2つのポイントを意識してみましょう。
塩と油の取り方に注意する
塩分と脂質の過剰摂取は、合併症のリスクが高まります。食塩の摂取を減らすには、減塩醤油や減塩味噌を活用するほか、レモンやゆずなどで風味をつける方法が有効です。
肉類は煮る、蒸す、網で焼くなどの方法で調理すると、余分な脂肪を取り除けます。また、油は動脈硬化の予防に役立つ不飽和脂肪酸を多く含み、食後の血糖上昇をゆるやかにする植物油を使うと良いでしょう。
食物繊維でボリューム感を出す
食物繊維には、食後の血糖値の急上昇を抑える効果があるため、糖尿病の食事に有用です。食物繊維を摂取すると食後の満腹感が持続しやすくなり、食べ過ぎも防げます。
食物繊維は、1日当たり20g以上摂取するのが目標です。こんにゃくや根菜類など低カロリーでボリューム感のある食材を使うと、食物繊維を摂りつつ満足感も与えてくれます。
糖尿病の方の嗜好品との付き合い方
チョコレート、ケーキ、ジュース、アルコール類といった嗜好品には、糖質が多く含まれています。糖質を摂り過ぎると血糖値の急上昇を招くため、糖尿病の方は嗜好品とうまく付き合う必要があります。
1日の目安は200kcalまで
適正エネルギーを守るために、食事を減らして嗜好品を食べるという考えは誤りです。嗜好品はあくまでもおまけで、1日200kcal以内に抑えるのが理想です。
アルコールは25gまで
糖尿病患者が適量以上にアルコールを摂取すると、重大な合併症を招くリスクがあります。一般的には1日あたりアルコール25gまでが許容範囲とされ、日本酒1合やビール中瓶1本くらいが目安です。また血中アルコール濃度の急上昇を防ぐため、アルコールは食事と一緒に摂取するよう心がけてください。
栄養価の高いものを選ぶ
嗜好品は、糖質が少なく栄養を補えるナッツやヨーグルトなどが推奨されます。また、取るタイミングは昼間や運動前にし、血糖値や肥満に影響する夜は極力避けましょう。
まとめ
糖尿病患者は、血糖値の上昇を防ぐために食事療法が必要です。食事の基本は、適正エネルギーの厳守・1日3食の規則正しい食事・栄養バランスのよい食事の3つがあります。ルールに沿って制限すれば、嗜好品を摂取しても問題ありません。ただし、同じ糖尿病でも人それぞれ状態は異なるため、まずは担当医に相談することをおすすめします。
記事の監修者
理事長 / 院長 白神敏雄
日本外科学会専門医・日本透析学会会員・日本内科学会会員・日本医師会産業医
内科として糖尿病、高血圧、胃腸疾患の治療を医院では行っております。
京都の高雄病院の江部先生と連携し、糖質制限による糖尿病治療を行っております。